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シューダス: スイスアルプスの休日

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ALERT! ガイスシェラ・ホリデーホームが現在閉鎖されています。

シューダス村: スイスで一番美しい村

シューダス村(Schuders)は、オーストリア国境近くのスイスアルプスの山中にある小さな村です。この村は、スイス東部のスイスアルプスに囲まれたグラウブンデン県(Kanton Graubuenden)の風光明媚なプレッティガウ(Praettigau)地方に位置しています。標高は1300 m。四季を通じてとてもゆったりとくつろげる村です。

のんびりするだけでは物足りない行動派のあなたは、この村が、レェーティコン(Raetikon)山への山歩きや山登りの基地となっていることをお伝えしておきましょう。

あるいは、日本の方にとっては、あの、「アルプスの少女ハイジ」の故郷は、ここシューダスから程近い所にあると説明すれば、シューダスの美しさを瞬時にイメージしていただけるのかもしれません。

シューダス村は、麓のシーアス(Schiers)の街(独語)から8kmの山道を登り詰めたところにあります。山道の途中には、あの有名なサルジナトブル(Salginatobel)橋(独語)があります。この橋は、高さ90mで、1931年にロバート・マヤール(Robert Maillart)が建築しました。

山道は急で特に冬は滑りやすいので、シューダス村の人々のほとんどは、4輪駆動車に乗っています。麓のシーアスから車で30分くらいで到着します。

シューダス村にはスキーリフトはありません。でも、有名なスキーリゾート(クロースタルス(Klosters)、ダボース(Davos)、グルーシュ(Gruesch)) がすぐ近くにあります。また、シューダスは、スキーツアーで有名です。春先には、多くの人が村の中でスキーツアーを楽しんでいます。スキー板の裏に動物の毛を張って滑りにくくして山に登り、毛を外して山から滑り降ります。多くの観光客は、そんなスキーツアーを楽しんでいます。

シューダスはとっても小さな村で、45人程度しか住んでいません。そのほとんどが農家です。でも、もちろん、小さな素敵な教会もあります。

ガイスシェラ・ホリデーホーム(スイス版貸し別荘)

シューダスには、素敵なホリデーホームがあります。ホリデーホームとは、スイス版の民宿のことです。ただ、セルフサービスを基本としているので、日本の民宿と違って食事は付きません。その代わり、貸し別荘のように素敵なキッチンやお風呂などがすべてそろっており、自炊しながら滞在できます。もちろん、ホテルに比べてとても安価に借りることができます。スイスの人々の旅行には欠かせない施設です。

シューダスにあるホリデーホームの一つ、ガイスシェラ(Geisschaera)は、農家をリニューアルした素敵な建物です。家族または友達といっしょにスイスの最も美しい村の休日を過ごしてみませんか?とても、素敵な経験になることを保証します。

設備

  • 家具完備。広い居間。3つのベッドルーム。自炊のためのキッチン。風呂、シャワー、トイレ。大きなバルコニー。庭。テレビ・電話・お皿・シーツ・洗濯機など使用可能。この他に、4つのベッドルームを追加して借りることができます。

宿泊人数

  • 3つのベッドルームで6人まで。(追加ベッドルームを借りると、14人まで可能です)

宿泊代

  • 3つのベッドルームで一泊120スイスフラン。追加ベッドルーム代は、お問い合わせください。なお、宿泊日数、ベッドルームの数に限らず、チェックアウト時に清掃費150スイスフランがかかります。お支払いは現金でお願いします。
  • (最新の為替レートをご覧ください。)

詳細と予約

  • 詳細に付いては後述の「ホリデーホームの申し込み方法」で示されている所に連絡してください。

行き方

公共交通機関で

  • まず、SBB(スイス国鉄)でランクワット(Landquart)まで乗ってください。チューリッヒからなら1時間程度でしょうか。ランクワットはプラットホームが4本程度の駅です。そこで、レェーティシェ・バーン(Raetische Bahn)私線に乗り換えます。クロースタス(Klosters)、ダボース(Davos)方面行きです。そして、シーアス(Schiers)駅で降ります。ここで、ポストバス(スイス国内をカバーしている公営バス)に乗り、 シューダス(Schuders)で降ります。どちらのホリデーホームまでも、歩いてすぐです。村の人が教えてくれることでしょう。鉄道とバスの乗り継ぎなどの時刻表はSBBのホームページから検索できます。あるいは、ポストバスに乗らずに、トェーニィ家の人に予めシーアス駅へ迎えに来てくれるようにお願いしておくことも可能です。都合が付けば、車で送ってくれます。

車で

  • アウトバーンN13をランクワット(Landquart)で降ります。そこで、国道をクロースタス(Klosters)、ダボース(Davos)方面へ向かいます。 それから、大体 8 km走ると、 シーアス(Schiers)となりますので、ここで、シーアス街の中に入っていきます。街の中を少し走ると、シューダスへの道路標識が出てきます。ここから、道幅が狭くなり約8kmの上りの山道となります。ガードレールなどが整備されているきちんとした道です。山道を登ると、シューダス(Schuders)に到着します。ホリデーホームの一つのガイスシェラは、村の入り口から左側の二番目の建物です。

ホリデーホームの申し込み方法

ALERT! ガイスシェラ・ホリデーホームが現在閉鎖されています。

注意

  • お電話でお問い合わせする前に、現在のスイスの時間をご覧ください。
  • スイス以外からのお電話は、電話番号の 081 を +41-81に置き換えてお電話ください。 (なお + は各国の国際電話専用番号をダイアルすることを意味しています)。たとえば、日本からKDDを使ってダイアルする場合は、次のようにします 001-41-81-328-1740.
  • 電子メールのお問い合わせを受けておりませんので、ご理解ください。

実録:シューダス滞在記

この項、山本雅基(やまもとまさき)著。
1997年の夏、このホームページのオーナーのペーター・トェーニィの友人である山本は、シューダスに行き、ガイスシェラに泊まってきました。僕はとても感動しました。その感動を伝えたいと思い、文にまとめてみました。以下にその一部を載せます。シューダス村の美しさのすべてを、僕の筆力では伝えきれません。でも、その片鱗だけでも味わってみてください。

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翌朝目を覚ますと朝の6時前だった。短い時間だが、しっかりと寝た。窓から外を見ると上空に雲はなかった。山ではよくある朝霧が麓のほうから絶え間なく上ってきては、朝日に照らされて消えていた。右手のほうを見ると遠くに連なる山々の上部に朝日があたっていた。素晴らしい晴天に恵まれる予感がした。

明るくなるにつれ、あたりの様子が分かってきた。南向きのこの部屋は道路に面していた。昨日走ってきた車が1台しか通れない狭い道路で、シューダス村のメイン街道である。道路の向こうは草原の下り傾斜の斜面になっており、赤い屋根がすてきな家が1軒建っていた。建物は木でできているようだ。後から分かったが、この山間の村の家は、ほとんどが木でできていた。草原の向こうは林になっており、その下のほうから川の音が聞こえてきた。音は他に牛の鳴き声と首に付けているベルの音、そして、少しだけ鳥の声を聞いたように思うが、それだけだった。車の音や通りを歩く人の足音や新聞配達のバイク音など、何も聞こえなかった。

外に出ると、雨上がりの雲一つない素晴らしいスイス晴れ。空気は澄み、寒くも暑くもない。僕は、信じられなく素晴らしい場所にいることに気がついた。麓のシーアスの街から8km程の急坂を登ってきたこのシューダスの村は、高原地帯だった。道路は西から東に少しずつ登り勾配で延びており、道路の北側は山、南側は谷になっていた。東南の方向は谷が緩やかになっており、何回も何回も映画や写真で見たスイスの草原が広がっていた。草原の間に本線から分岐した道が曲がりくねって延び、道路に沿って木造建築の教会や家が点々と建っていた。草原は高さ5cm以下程度のクローバーなどの草が生え揃っており、手入れされた公園の広場という感じである。緑に混じって、小さな白い花がぽつぽつと咲いていた。草原は谷に沿ってなだらかに下り、再び登りに転じ向こう側の山へと続き、傾斜がきつくなるに従って林となり、再び森林限界であろうか草原に転じ山頂まで続いていた。この穏やかな山では冬には山スキーを楽しむらしい。草原に覆われた山の隣には灰色のごつごつした岩山がそびえていた。ロッククライミングの名所らしい。緑と灰色の山が澄み渡った空の青さとコントラストをなし、そこにあった。ここは天国に近い村かもしれない。

僕の仮説だが、スイスの人々は穏やかな斜面を見つけるとそこを伐採し、その木で家を建築し、伐採後の斜面にクローバーなどの背丈の伸びない草を植えたのではなかろうか。こうして、スイス特有の草原と林の織りなす美しい光景が生まれたのではなかろうか?日本の山間部と決定的に違うのが、背丈の低い草原である。植生の違いであろうか、手入れをしているのであろうか、それは分からない。この背丈の低い草原と木々のコントラストがスイスの美しい景色を作り出していることには間違いない。

教会は、その草原を谷に向かって少し下ったところにあった。今日は特別の日曜日と言うことで、街から牧師が出張してきていた。シューダス村にも牧師がいる。村の若い牧師はスイスホルンを吹いて教会への集合時間になったことを知らせた。教会は小さく100人も入れば満員となる大きさで、ちょうど、満員となっていた。いつもは数人しか集まらないそうだが。年老いた男女がまるで学芸会の発表のように少し誇らしげに牧師の側に立ち、垂れ下がっている2本のロープを手に取り、思いっきり引いた。すると、2つの鐘が鳴り響いた。彼らは息を揃えて何回も何回もロープを引っ張り、やがて引っ張るタイミングを少しずつずらし始めた。鐘はメロディを語り始め、スイスで一番美しいシューダスの村に鳴り響いた。

説教はスイスドイツ語で行われ、全く分からない。ごめんなさい、少し寝ていました。説教の合間に何回も何回も立ち上がってオルガンに合わせて賛美歌を歌った。親切にも歌詞カードを渡してくれるのだが役に立たない。最後には再び先ほどの年老いた男女が出てきて、鐘を鳴らして40分くらいの会はお開きとなった。

その後、おそらく村に一つのレストランにみんなが集まって食事をした。僕は6カ国語辞典を取り出して、ドイツ語で、オイシイデス、オナカイッパイデス、カンパイ、ニホンカラキマシタ、スイスハジメテデス、キレイデス、などとお爺ちゃんお婆ちゃん相手にやっていた。お婆ちゃんの一人は僕のことを映画俳優の誰それに似ていると言ってくれたのだが、あいにく僕にその名前は聞き取れなかった。

おそらく、シューダスは日本で言うと過疎の村なのかもしれない。気がついたら、年寄りと子供の割合が非常に高かった。ここで仕事を探すことは、少し難しいのかもしれない。農業と先生と牧師と郵便配達と...。働き盛りの若者の多くは下の街などに降りていっているのではなかろうか。 でも、僕は、この村がとてもとても気に入った。草原の上を歩いたのは何日ぶりだろう?こんなに長く自動車のエンジン音を聞かないのは最後にゴルフ場に行った時以来かな?のどに痛みを感じずに思いっきり空気を吸ったのは何年ぶりだろう?ただ、生きているだけでこれほどわくわくしたのは子供の時以来だったかな?見知らぬ人に声をかけてあんなに楽しく美味しい昼食をとったのは生まれて始めてかな?

僕は息子が貰ったハーモニカのおもちゃを取り上げ、ブカブカ吹き鳴らしながら軽くスキップして散歩した。なぜか、無性にクラシックが聴きたくなった。いや、クラシックを口ずさみたくなった。スケッチがしたくなった。粘土細工がしたくなった。草原に寝ころんで飽きるまで空を眺め、詩を詠みたくなった。どんどんクリエイティブな気分になっていった。疲れが芯からとれ、刻々と元気になっていくのを自覚した。

僕はこんな挿話を思い出しながら遠くの山を見ていた。 レマン湖のほとりで釣りをしている若いスイス人の側に日本人がやってきて、

  • 「遊んでいないでもっと働きましょうよ」と日本人。
  • 「なぜ?」と釣り糸を垂れたスイス人。
  • 「老後に釣りをするために」
  • 「私は今、釣りをして楽しんでいますよ」

夕食は泣き出しそうに美味しいバーベキューだった。ワインが進み、会話が弾み、すてきなスイスの一番美しい村での夜は更けていった。バルコニーに出て見上げると、満天の星空。ミルキーウェーが流れ、プラネタリウムよりも多い星がすぐ目の前にあった。やはり、この村は天国に一番近い村。きっと、今は黒く沈んでいるあの灰色の岩山の向こうに天国があるに違いない。

僕は子供の頃から山が好きだった。草原が好きだった。でも、僕の思い描く景色は身近にはなかった。僕は、映画サウンドオブミュージックのシーンが大好きだった。大草原の小さな家のテレビ番組が好きだった。そんな草原や山が好きだった。 このシューダスには、それらが実物として全てあった。今までスクリーンの向こうにしかなかったものが、足下にあった。目の前にあった。そして、優しいすてきな人々とのふれあいがあった。全て、本物としてあった。僕らは五感を通して直接それらに触れていた。それらを体験して、僕は、めきめきと元気になっていった。これで、しばらく日本に帰っても元気に過ごすことが出来そうである。疲れたら、この光景を思い出そう。思い出だけではどうしようもなくなったら、また、ここに戻ってこよう。

2重ガラスでできた窓を閉めて、ふかふかのベットに潜り込んで目を閉じながら、僕はそう思っていた。

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